晴れ渡った寒空を、突き刺すようにまっすぐに立つ園庭のメタセコイア。
立派で力強く、見ているとしゃんと背筋が伸びます。
この木の前にたたずんでいると、開園以来の思い出が一気に胸の内に巡ってきます。
まだ、この木が木登りをするのにちょうど良い大きさだったころ、
下から子どもたちのお尻を押し上げて遊びました。
木登りといえば思い出すのはTくん。
高い所が得意でどんどんよじ登っていきます。
私は木の下で「Tくん、もう先生助けに行けないから降りてきて」と、よく声をかけました。
かばんや絵本の袋や上履きをかじる癖があり、木の上では細い目を余計に細くして
最高の笑顔を見せてくれました。
今ではきっとやさしいお父さんになっていることでしょう。
いつかこの木の下で顔を合わせてみたいな。
どんな話が飛び出してくるかな。
でも恥ずかしがりのTくんは、きっと黙って空を木の下から眺めることでしょう。
「お嫁さん先生と子どもたち〜市ヶ尾幼稚園の12ヶ月」(著者:高橋一枝副学園長)より

学園長先生、一枝先生、創立50周年おめでとうございます!(職員一同)